IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)が2019年から出てきていますが、
どのような規格なのか、どのように向上するのか、確認していきたいと思います。
結論としては、2020年の現段階(5月)で焦って入れる必要はありません。
特に、すでに利用しているであろう端末では802.11axに未対応である可能性が高いため、
アクセスポイントのみサポートさせても意味がありません。
また、後述しますが、802.11axの能力を十分に活用しようとすると、
有線ネットワークのマルチギガビット・スイッチング化が必須となってきますので、
全体のネットワークリプレースの段階で検討すべき事項となるでしょう。
ただし、現状、マルチギガビット・スイッチング化に対応しようとすると、
通常スイッチの50%程度のコスト増となります・・・
802.11ax概要
まずは、802.11ax概要について羅列します。
・IEEE 802.11axは、現IEEE 802.11acの後継規格である。
ただし、802.11acとは違って、802.11axは2.4GHz帯もサポートする。
・「IEEE 802.11ax」=「Wi-Fi 6」
・すでに主要NWメーカではサポートしている。
ただし、APはサポートされたとしても、端末側は新規購入しない限りサポートされていない可能性が高い。
APとPCともにサポートされた状況でようやく利用できる。
・理論上、10Gbps近いスループットを実現する。
ただし、現実世界における実装は簡単ではない。
・直交周波数分割多元接続 (OFDMA) と呼ばれるエンコーディング方法を採用している。
私も詳しくはよくわからないですが、通信の品質や速度が向上します。
・MU-MIMOテクノロジの向上
802.11acと比べて、802.11axではMU-MIMOの同時クライアント伝送数が4から8に増加する。
つまり、AP1台あたりの許容端末数が向上することになる。
802.11ac wave2で十分である
上記の通り、802.11axは、
802.11acと比べて大きく向上しています。
特に、「2.4GHz帯もサポートしていること」、「MU-MIMOテクノロジの向上」は、
魅力的な性能アップと言えます。
一方で、果たしてそのような性能向上は現状必要でしょうか。
多くの場合、現状の802.11acで満足していないでしょうか。
最近ではコロナ(COVID-19)の影響でWeb会議を多用するような環境になったとは言え、
無線接続に問題が発生しているというケースは聞いていません。
問題があったとしても、
それは、既存のAPを1台追加すれば解決できる内容ではないでしょうか。
これから無線を導入する場合は、なぜ802.11axにする必要があるか
を考えてみてください。
クラウド接続が増えている昨今でいうと、
末端の無線の性能よりも、インターネット回線の増速、あるいはSD-WAN化への対応、
といった内容のほうがよっぽど有益かもしれません・・。
802.11n→802.11acの時もそうでしたが、
802.11acまでのAPがEOLを迎えたり、
保守期間5年間を踏まえると、旧機種のAPは提案できないといった
今から買うなら802.11ax対応APに必然的になるといった状況で初めて普及していくかと思われます。
マルチギガビット・スイッチング機能が必須
マルチギガビット・スイッチング機能というのは、
1本のLANケーブル(Cat5e以上)で2.5G~10Gbpsの速度を出す機能のことを指します。
AP配下の端末で1Gbps以上の速度が出たとしても、
その上位の有線がボトルネックとなってしまいます。
そのため、有線自体の性能も向上する必要があります。
と、簡単には言えますが、
Cat5eだったら、最高でも2.5Gbpsといまいちで、
そうなると、ケーブルの引き直しが発生しますし、
マルチギガビット対応のスイッチを選定すると、大きくコスト増となってしまいます。
802.11acの頃から、1Gbps以上の無線接続が可能になり、
マルチギガビット対応スイッチも出てきました。
提案したこともありましたが、大きくコスト増となってしまうため、いまだ入れたことがありません。
まとめ
ということで、繰り返しとなりますが、
何かしらの理由がない限り、
802.11ax対応のアクセスポイントは様子見としています。
今すぐ導入する場合も、まだ802.11ax対応のアクセスポイントは提案していません。
参考
https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/equ/mra/pdf/30/j/15.pdf
https://www.soumu.go.jp/main_content/000566719.pdf
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